株式会社TAS ART 代表取締役
田﨑 新二(たさき・しんじ) 1977年6月生まれ。熊本県出身。熊本電波高専、熊本大学工学部を卒業後、北九州の研究所に4年間勤務。その後、2006年にTAS ARTを創業し代表取締役に就任。
田﨑 新二 株式会社TAS ART 代表取締役(以下 田﨑社長)当社では、HPやWEBサイトの制作、WEBシステムの企画から開発、運営・管理までを全て担っています。お客様は熊本県内に限らず県内外の企業様とお取引があり、メーカーや飲食店、経営コンサルタント、住宅業界など幅広く担当させて頂いております。
実はTAS ARTを創業した当初は現在の事業とは異なり、行政関係や民間企業のシステム開発を下請けで行っていました。時代の変化に合わせてWEB系のシステム開発も増えており会社としては順調でしたが、お客様の顔も見えず依頼された仕事をこなすばかりでは、今後もお客様の想いを形にすることはできないのでは…。という葛藤がありました。当時から私の中で大事にしていたのは、お客様が本当に欲しいと思うものを作っていきたいという「顧客創造」の考えでした。そのため、顧客に提供する価値を変えていこうとHPの構成やデザインができる人材をそれぞれ採用し、現在のようにWEBシステムの開発から制作まで自社でワンストップの対応ができる体制を整えました。
田﨑社長やはり、お客様の想いをより実現できるようになったと感じています。以前のように依頼されたことだけをやる場合、私たちのやりがいやモチベーションにもつながっていませんでした。お客様の顔が見え理念や想いが共有できるようになると、エンドユーザーの方に想いを伝えるため「なんとか形にしたい!」と、全員がこれまで以上に努力するようになりましたね。また、お客様の想いをもっと正しく伝えるためには、それぞれがさらに技術力を高めていく必要もあります。当社はまだ7名と小さな会社ですが、各々が技術を磨き合い尊重し合うことで、意識も高まりさらなる個人・企業の成長につながっていると感じています。
田﨑社長社員に想いを伝えることと、私自身も歩み寄ることですかね。過去には私の考えがなかなか伝わらない時期があり、悩んだこともありました。その際には、社員の価値観や興味関心を知ることで共通の話題を作り、私自身が共感することを心掛けました。想いをストレートに伝えることも意識していますね。
また、最近では「ミッションを与える」ことを大事にしています。「熊本で一番●●と感じられるWEBサイトやHPを作ろう!」といったミッションになります。高い目標を掲げると不思議とチームの一体感も増し、「どうやったら実現できるのか…。」とそれぞれが高い志で取り組んでくれています。システム、構成、デザイナーとそれぞれの担当がお客様の想いを伝えるために「分かりやすさ」を追求するので、いい意味で衝突することもありますが、プロ意識を持ったワンストップの組織体制が当社の強みでもあると思います。
田﨑社長現在、WEB制作の中でも力を入れている部分はマーケティングになります。今後はAIなども活用したマーケティングも模索しています。これまで大事にしてきたお客様の想いだけでなく、市場のカスタマーの想いも組み込んだ上で、どんな情報をどのようなタイミング、手法で提供すると結果に繋がるのかを日々考えながらおこなっています。特にデジタルマーケティングの場合、どんな属性の方がどのページを何回、何秒見ているのかもはっきりします。そのため、顧客ごとにどのような特性・課題があるのかを明確にしながら、結果に繋がるようなWEBサイトの制作に注力しています。ある意味、私たちは広報というお客様の一つの「事業部」です。HPを売って終わりではなく、その事業を軌道に乗せる必要がありますからね。
また、新しい価値もつくり出していきたいと考えています。実は以前からKITという言葉を作っていまして…Kは感性、ITはインフォメーションテクノロジーになります。今までは情報をそのまま伝えることが当たり前でしたが、その人の感性に合わせて情報を届けられると面白いのではないかと。例えば、カスタマーが居酒屋を探す際に、大人数でワイワイ飲みたい人にはビールで乾杯している写真や座敷の写真。少人数でオシャレに飲みたい人にはワインと個室の写真・・・それぞれの人の感性に合わせて情報を取捨選択し、提供できるWEBシステムをつくっていきたいですね。周囲からは不思議なことを言ってるな…と思われることもありますが、いまは実現不可能に思われるようなことでも、「こうなったらいいな」という大きな理想を掲げ、新たな価値の創造に励みたいと思います。
田﨑社長きっかけは理事の方や既に入会されていた方からの紹介でした。本郷社長のお話も面白いですし、多くの経営者の方のお話が聞けるため、気づきも多く、発想の幅が広がっています。また、経営に携わるからには、今後も私自身が学び続けなくてはならないと強く感じています。父から『学べば則ち固ならず』という言葉を教わりましたが、学ぶことで視野も広くなり柔軟な考えが持てるので、判断を誤ることもありません。当社くらいの規模感の場合、社長の価値観・人生観で会社も大きく変わります。社員の方々の幸福を実現するためにも、私自身の価値観・人生観は今後も磨き続けていきたいと思います。