株式会社アドシン 代表取締役社長
光澤 陽介(みつざわ・ようすけ) 1977年5月生まれ。熊本市出身。城北高等学校商業科卒、東京での役者生活を経て2005年4月入社。営業部長を経て2013年9月営業部長兼社長室長、2014年に取締役、2015年に専務に就任。2020年8月に代表取締役社長に就任。
光澤 陽介 株式会社アドシン社長(以下 光澤社長)大きく二つありまして一つは印刷物制作の事業(DTP)ともう一つはWEB事業になります。印刷物制作では、チラシや商品カタログ、会社案内、パンフレット、封筒、名刺など印刷物全般を取り扱っています。WEB事業に関しては2005年からスタートし今期で17期目です。先代(現会長)はインターネットが普及したらいずれ折り込みチラシは無くなるだろうと考えECサイトの制作に取り掛かったのが始まりです。現在はECサイトの制作だけでなく、Webマーケティングを取りいれたBtoBサイト、コーポレートサイト、採用に特化したリクルートサイトなどのHP制作も行っています。
光澤社長実は9割が県外のお客様なんです。当社は営業という営業は全くしておらず新規のお客様に関してはHPからの問い合わせや紹介がほとんどです。当社の営業スタイルの特徴でもありますが、ECサイトの構築を行う会社やクライアント様が多くいらっしゃるコンサルティング会社とパートナー契約を結び、パートナー企業様の紹介から実績に繋がっています。パートナー契約を結ぶ企業は東京の企業様が多いので全国的な実績が増えている状況です。また、先代が県内の同業者様とのバッティングを避けたいと、全国に飛び出していったのも県外のお客様が多い理由の一つですね。
光澤社長先代が築き上げた大事なところは引継ぎつつ、時代に合わせて組織の在り方や社員制度などを変えてきました。専務の時から常々取り組んではいたのですが、社長に就任してからはより加速させて取り組んでいます。特に、社員のモチベーションづくりや組織体制、幹部社員との関係に課題感を感じていたため、制度の見直しや社員教育、価値観・理念の浸透に力を入れてきました。具体的には、社員誰もが新しい事業を立ち上げることができる社内ベンチャー制度を策定し、営業だけでなく様々な社員が目標を持って働けるように半期MVP賞、年間スマイル賞、サンクスカード賞などの表彰制度を設けました。
光澤社長そうですね。少しずつですが社内にもいい変化が生まれていると思います。元々営業のトップを任せていた社員は、社内ベンチャー制度の第一号として新しい会社の立ち上げに向けて頑張ってくれています。本人にとっても志向や価値観に合っていたようでイキイキとしていますし、共に会社を支える人材としていい関係性が築けています。また、制作スタッフに関しては常に目標を持って働いてもらおうとお客様と直接やりとりをする機会を作りました。その結果、お客様の課題や目的を理解してもっと頑張りたいという気持ちが強くなったように感じます。これまでは作業だったところから、お客様に価値を届けるため目的・役割意識を持って取り組んでくれていますね。
光澤社長これからは企業様のマーケティング・ブランディング・プロモーションを行い、経営のデザインまでサポートできるデザインコンサルティングファームを目指しています。クライアント様の課題を可視化し、デザイン思考による消費者の潜在的ニーズ調査、戦略立案、要件定義、デザイン、納品後の検証、修正という一連の作業をトータルでおこなっていきたいと考えています。全てを自社で行う必要はないので、当社がハブとなって専門家をつなげる役割を担えるといいなと。実際の取り組みとしては現在、農家さんを担当させて頂いています。1次産業でもある農業の課題としては大きく人手不足・直販化・耕作放棄地の3つが課題としてあげられます。そのため当社ではこれかの課題を解決するために、農家の方々のお話しをお伺いしながら、農園理念・ビジョンンの設定、ロゴやHPの制作、商品化の企画、直販の仕組み化に取り組んでいるところです。
光澤社長実は、社内ベンチャー制度や組織改革は熊本創生起業家ネットワークにおける本郷塾やゲストの方々の講演からヒントを頂きました。入会前に体験参加をさせて頂いた際、エグチホールディングス株式会社の江口社長のお話しがありました。その中で掲げられていたのが『1億の会社を10社つくる。そこで10人の社長をつくりたい』ということでした。この発想は自社でも使えるんじゃないかと早速導入しました。また、本郷塾では『功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ』という言葉もありましたが、これは当社の社内人事でも大事にしている考えです。これらの教えに沿って組織体制を整えた結果、社長就任後にすごくいい形で第二創業期としてスタートできたと実感しています。
光澤社長昔からいいと思ったことは積極的に取り組む性格なんです(笑)。インプットしたことも翌日には必ずアウトプットするようにしています。今も熊創の例会の翌日には幹部社員に学んだことを説明・共有し、自社で取り入れられるものを取捨選択しています。社員にアウトプットすることで、学びを自分のものに出来るだけでなく、社員との関係性も深まります。また、社員の感覚が研ぎ澄まされて同じ視座で考えられるようになったことも非常に嬉しいですね。