メンバー紹介

山下 謙治

社会保険労務士事務所プロセスコア代表

PROFILE

熊本北高校卒、福岡大学卒。社会保険労務士事務所プロセスコア代表。勤務社会保険労務士として5年、起業して12年目。クライアント企業数約130件。

事業内容をお聞かせください。

山下謙治 社会保険労務士事務所プロセスコア代表(以下、山下代表)弊社は社会保険労務士事務所として、企業の給与計算や、社会保険手続、助成金手続代行の他に、中小企業に対する組織活性化のコンサルティング業務に取り組んでいます。一般的な社労士の業務はもちろんなのですが、企業にとって創業から5~10年のタイミングは、組織を安定・拡大させていく上で問題が蓄積してくることが多い時期です。そのタイミングでの仕組みづくりも大切な役割だと思っています。

時代の変化とともに増加する役割

単なる事務作業の代行業務ではないということですね。

山下代表時代の変化とともに、法律や企業が求められるものも変わってきています。だからこそ、果たす役割も大きくなってきていると実感しています。残業時間の規制など法改正を「知りませんでした」では済まされません。しかし、中小企業経営者の中にはそれを知らない方も多く、知っていてもどう対応していいのか分からない方も多いです。そういった企業に寄り添い、成長のお手伝いをしています。

法に関しては専門外の経営者も多いので、需要はますます伸びているのではないでしょうか。

山下代表そうですね。もちろん、組織が考えるべきは法の問題だけではありません。たとえば、従業員が10人くらいの規模だと人間関係は良いんだけれど、社員の成長が停滞しがちだったり、組織としてサービスを提供する上で、個人の価値観で業務を遂行するケースが多いです。組織として成長していく上で、管理職の育成や人の定着率などさまざまな課題がある中で、社内の仕組みづくりをそれぞれのケースに合わせてコンサルティングしています。

経営者は悩みを相談できる相手も少ないので、必要とされる存在ですね。

山下代表そうあれるように頑張っています(笑)。県内企業の経営水準はバラバラで上手く行っている企業もあれば、多くの悩みを抱えている企業も多いです。だからこそ、まずは事例をしっかり伝え、課題を改善していくイメージをより具体的なものにします。その上で、人事評価の仕組みや昇給などのルールを一緒に考えていきます。もちろん、経営者の考えや狙いをしっかりヒアリングしながら、選択肢を提示しています。
また、必要性という側面から見ると、中小企業では財務や総務の業務のうち専門性が高い部分を経営者が兼ねているケースが多いです。本業に集中するため、専門の人間を雇い任せたいという声も多いのですが、なかなか経験者を採用できないのが現実です。そこで、外注先として私たちのような社会保険労務士事務所に依頼があります。もちろん、私たちとしては嬉しい話なのですが、やはり企業は自走できる状態がベストです。人手不足の世の中で採用の難しさは増し、相談も増えています。そこで、クライアントに適した採用方法を一緒に考えています。他社と比較・分析したり、広告媒体を選定したり。手段を知っていても実行できないケースも多いので、管理職研修や人事担当者研修を通して企業の成長のお手伝いをしています。

人・ 組織の成長過程を支援

クライアントを企業として成長させていくことが理念なんですね。

山下代表そうですね。実は「プロセスコア」という事務所名もそういった思いから名付けています。プロセス(過程)とコア(核)。企業の核となるのは経営者であり、組織です。その組織の成長過程をずっと応援していく存在でありたいと思っています。「人・組織の成長過程を支援することで、永続的発展に貢献する」という経営理念にもなっています。
社会保険労務士は今、日本が抱えている経済上の問題の中心にいるような気がしています。人手不足や生産性向上、人材教育などさまざまな課題が起こる中でその解決策を求められています。AI技術が発展する世の中で「人にしかできないこと」や「人に求められていること」がクローズアップされています。そこにフォーカスできる企業が今後伸びていくと思います。モデルとなる企業の育成に関わり、これからの経済環境で生き残っていける企業づくりのお手伝いをすること、それが社会貢献に繋がると思っています。

人材確保に対するソリューション提案に注力

今後のビジョンはどのように描いていますか。

山下代表中長期的には人手不足を補うために生産性を向上させていかなければなりません。そのために必要なのが人材です。売上規模はもちろんですが、それ以上に人材獲得をどのようにしていくのかのソリューション(課題解決)を重視していきたいと考えています。
また、短期的にはクラウドシステムをホワイトカラーのオフィスに導入する提案や、サポートを進めていきたいと考えています。勤怠管理システムなどを効率的なものにすることで生産性が向上します。何を選んで良いのか、どのように運用して良いのか分からない企業も多いので、導入、運用定着までの支援を積極的に取り組んでいきます。
そのほか、弊社主催で経営者を主な対象にした「真學経営塾」という勉強会を開催しています。渋沢栄一や、日産コンツェルンという旧財閥の創始者・鮎川義介の経営哲学、東洋の帝王學といえる中国から日本に伝わった氣學が主な学習コンテンツです。勉強会を通じて人それぞれが持つ気性や能力の特性を知り、リーダーに必要なチームビルディングを進めるための術と、「考える力」や「アイデア」を生み出す力を養うトレーニングをしています。
人口減少が進む中で労働生産性を上げるためには、人を魅了し、惹きつけるリーダーの人格、そして、課題に気づき、どのような対応をすべきか?「気づき」や「アイデア」を出せる人材が今まで以上に求められていると思います。そのような人材を多く育成できればと考えています。

熊本創生企業家ネットワークにも通じるところがありますね。

山下代表経営者自身が学んで成長していくという点では非常に共通する部分も多いですね。私自身、参加してさまざまな業種の事業モデルや悩みを聞く機会が増え、客観的な視点が養われました。同業との交流だけでは得られないアイディアや取り組みを知ることだできました。このような会員同士のつながりは、自身のビジネスに大いに役立ちます。業態によって積極的な投資が必要な部分や、注力するポイントが違うので非常に面白いです。クライアントへの提案も以前とは違った切り口からアドバイスができるようになりましたし、自分のビジネスの強みや鍵になる部分も見えてきました。
ここで受けた刺激を活かし、同業他社にはできないサービスを生み出していきたいと思います。また、従来の一般的な社会保険労務士事務所の手続や給与計算などの基本的な業務のレベルについてもITの技術を駆使したり、分業を図って全国トップクラスに引き上げたいと考えています。HRテック(人事関連のITシステム)の開発事業を需要が伸びていますが、地方の社会保険労務士事務所の役割としては、積極的な開発以上にITの導入・運用の橋渡しをしていく役割が重要と考えています。その際に、やはり他業種について深く理解しておくことで、適切なサポートができるので、この場で得た経験をしっかり経営に取り込んでいきたいと思います。